編集長対談/YUKO NONOGUCHI×FUMIYA SENTO(Zui+LIM)

はじめて会ったとは思えないほど、それぞれの美容師感やオーナーとしての考え方で話が盛り上がった野々口さんと仙頭さん。

さらにお二人にさまざまな質問を投げかけました。


Q 美容師として大切にしていることはありますか?

仙頭 経験を重ねて、独立もしましたが、今も変わらず技術向上ですね。常に今よりも上手くなり続けていきたい。

野々口 私も同じですね。常にトライすること。学ぶことを辞めたらそこで止まってしまう。時代は常に動いています。現状維持では遅れてしまう一方です。だから常に進化するように取り組んでいます。

仙頭 野々口さんは最近メイクのコンテストにも参加していましたよね。あの発想はどのようにたどりついたんですか。

野々口 実はメイクの学校に1年間通いました。改めて学び直して自分の引き出しを増やしたいと思って。
今回は色を使って日常ではないメイクを表現したくて、世界観から先に固めて作品を作っていきました。

Q お二人ともスタッフを抱える立場です。スタッフ教育についての方針を教えてください。

仙頭 Zui+LIMの経営は3人体制で行っているため、サロンとしての教育設計は他の2人に任せています。でも、最近は「教育も役割だ」と思い、聞かれたことにはきちんと答えていますよ。正直、昔は教育をするにも自分を慕ってくれる子には熱心になるなど、向き合い方に差があったと思います。でも、店の代表としてスタッフを雇う以上それではいけない。当然スタッフにも個性やスキルの差があるので、均等に向き合うって大変だなと感じています。

教育が一番大変ですよね。私も独立して以降、常に気を配っています。レッスンはどういう風に行われていますか。

仙頭 固定の日は決めていません。早朝出勤をしており、その時間にスタッフ自ら聞きに来てほしいというスタイルです。

野々口 そうなんですね!SYANでは週に1度、レッスン時間を設けています。では、みなさん自主的に練習しているんですか。

仙頭 そうですね。でも練習しない人はしませんよ。

野々口 そうなりますよね・・・でもレッスンなしって、そのスタッフはどう育成するんですか。

仙頭 そこが難しいところで。ただ、僕自身が若い頃技術に関してそこまでヤル気がないタイプだったんです。根拠もないのに「自分は売れるだろう」って変な自信だけあって。お客さんを盛り上げることができたらいいと思っていましたが、スタイリストに昇格したら当然客がつかないという壁にぶち当あたり、目が覚めました。痛い目をみないとなかなか切り替わらないタイプなので、そういう指導もあっていいかなって思うんです。

野々口 かなりの痛い目ですよね。でもそれを機に辞めないようにって私は躊躇しちゃうんですよね。痛い目を見る前に手を差し伸べてしまう。店舗数の少ないサロンだと一人辞めるだけで手が足りなくなってしまうので、どうしてもやさしくなる傾向だと感じています。教育するって、さじ加減が非常に難しいですよね。

仙頭 実は僕、若い頃に私生活でトラブルがありまして。サロンにも迷惑をかけて、クビになるんじゃないかって所までいったんです。でも当時の上司が「絶対に辞めさせないからな!」と言ってくださって。大号泣しましたね。そこまで言ってくれる会社のためになるように美容師として頑張ろうと、スイッチが入りました。そんな経験をしたら、若い美容師もテンションがあがるだろうなって思うんですけど、そもそもきっかけがレアケースすぎますね(笑)

野々口 そこまでは無理でもやっぱり、壁に自らぶち当たって気づくことは大事ですよね。その反動ですさまじく飛躍する子はいます。教育する側としてどう接するか、改めて考えさせられました。


Q ここ最近のムードなカラーの作り方はありますか?

仙頭 特定の色味ではないですが、ムラっぽい入れ方を最近は取り入れています。僕が大事にする、「自然体に見せる」ことからからですね。ローライトを入れたり、ランダムに入れたり、根元の地毛の色合いと合わせたり。デザインで見せ方を変えていくのがムードですね。

野々口 私はベージュの色合いにこだわっていますね。その人の肌の色にどれだけフィットするか。カラー剤の調合がキモです。地肌だけでなく、普段のメイクで使っているファンデーションの色味などもおうかがいして色を決めていきます。

Q サロンワークにおいて、「自分らしい表現」をどう捕らえていますか?

野々口 自分のスタイルって、携わった場数や年数で自然と見つかってくるものだと思っています。お客さまと向き合えば向き合うほど、明確に、はっきりしてくると思うんですが、仙頭さんはいかがですか。

仙頭 僕も長くやってきて、今はできる限り自然体に仕上げたいと日々の施術に向き合っています。自分の性格を髪の毛に反映させたいんですよね。

野々口 仙頭さんはお客さまのいい要素を引っ張り出すのが上手だなって思います。それぞれの個性を活かしているのに、絶対に仙頭さんらしい。その鍵はカウンセリングですか。

仙頭 いや、ほとんどカウンセリングしないんですよ。お客さまもSNSで作品を見てお越しいただく方が多いので、「おまかせで」でばかりで。なので、「じゃあまかせて!」と始めてしまいます。

野々口 最初に「こういう形が似合うから、こういこうか」みたいな話もされないんですか。

仙頭 断言したらその通りにしなくちゃいけなくなるから(笑)

野々口 デザインしている最中にでも「こっちの方がいいな」って変えていくタイプなんですね。

仙頭 例えば前髪は短くする、みたいに1つだけ決めたりはします。でも触りながら、こうした方がいいって見極めていきます。特に大事にしているのが生え癖ですね。家に帰っても扱えるスタイルを目指しています。

野々口 私はお客さまの「なりたい」を叶えることを意識していますね。今、メイクやファッションで肌のイエベ・ブルベって話題になりがちじゃないですか。あれに疑問があって。誰かが決めた基準の一つでしかないと思うんです。診断で似合わないって言われても、そこを上手く見せるのが私たち美容業界の人間。なりたい像とその人が本来の姿を掛け合わせて作っていく。クールな姿にも、可愛らしい姿にも、自分の好きな方に誰だってなれると信じています。だから「私イエベだからこういう色じゃないと」ってお客さまに言われても、「こうしたら大丈夫ですよ」とご提案して、本当はやってみたいと願っている姿の実現を目指していきます。それが私らしい表現かな。

AREA:Kyoto
SALON:Zui+LIM
Stylist:仙頭 郁弥 Sento Fumiya

高知県出身。経歴15年。2023年、3者による共同経営で「Zui+LIM」をオープン。
お客さまに笑顔で帰っていただけるよう、「できるだけシンプルに、できるだけコダワる」を信条にスタイル造りに取り組む。