「SYAN」でサロンワークに携わるとともに、業界紙・雑誌やアパレルの撮影、セミナー講師、ブライダルやファッションショーのヘアメイクとしても活動する野々口祐子。美容師として、オーナーとして、そして一人の人間として、どんな思考で日々と向き合うのか。その心に触れる。

隠された本質の中から、世界を取り出す。
それが、私のたどり着いた現在地。
“女性のムードをどのように引き出すか。”
今回、編集長として与えられた大きな問いかけに対して、私がたどり着いた世界が「せなかあうもの」です。
一人ひとりのモデルと向き合い、その人だけの“らしさ”をより良く魅せる。そうした作品づくりを目指しました。
それは一重まぶたや肌の濃淡、ソバカスなど一見するとコンプレックスな部分かもしれません。自信のある場所だけでなく、背中合わせに存在する隠したい部分も、光のあて方次第で魅力を高められる。それがクリエイティブの力だと思っています。その人の中に眠る、ありのままの姿を目指しました。
MOOOOD vol.3では決め打ちのデザインではなく、モデルを引き立てることに重きを置く手法で作品を作りました。モデルの個性に、カメラ、洋服、メイクと一人ひとりのクリエイターの感性・テクニックを融合させて、唯一無二の世界観を生み出しています。
こうした作品作りにおいて大切なのは「余白」。設定を決め込みすぎず、撮影時のフィーリングを大切にします。そうした撮影の場では、どんな状況でも対応できる自分の引き出しの広さが必要です。それは感性・技術、両面においてです。
自分の引き出しを広げるポイントは、情報のインプットがはじまりだと思います。
見て、触れて、感じて。
出会ったもの全てが私につながる。
メイクやファッションの情報に留まらず、映画、アート、建築など、普段からいろいろなものに触れるようにしています。人は、自分の生きてきた中でしか表現できませんから。出会ったこと、経験したこと全てが私の糧になるんです。
そして、ただ「見る」だけでなく、そこからの「深掘り」が大切だと思っています。何がこの世界観の背景に込められているのか。その理解の積み重ねが、誰かの模倣ではない自分らしさの表現につながります。表面上の美しさだけではないものが、人の心を動かす。サロンワークにおいても、クリエイティブにおいても、ヘアメイクにおいても、その思いで日々向き合っています。

