COLORFUL

東京と京都。離れた土地にサロンを構えながら
お互いのデザインや教育論に共通点を見出し交流を続けてきた
DADAの植村氏とsnobの吉田氏。
以前から、独自のサロンエデュケーションを発展させてきたお二人に
現在のサロン教育の問題点や今後の課題をテーマに対談していただいた。
深夜まで及んだ撮影のあとに、かけつけてくださったお二人だったが
美容教育にかける強い想いを
数時間にわたって熱く語りあった。

現在の美容業界のエデュケーションに警鐘を鳴らし続けてきたお二人ですが、まずはご自分が受けてきた教育についてお聞かせください。

吉田  僕自身の18才からの経験を振り返って思うのは、日本の教育プログラムっていうのは、パターンで練習するとか、技を練習することを重要視してきたなっていうこと。その当時の日本の美容技術っていうのは、ものすごく遅れていて、早急に取り入れることを最優先したかったからだと思います。そのためには欧米の技術をマニュアル化して覚えていくことが一番手っ取り早い方法論だったわけです。だから全体を平均化した教育をすることが主流になっちゃって、それが今も続いてしまっている気がするんです。
植村  ひとつのデザインをとっても、みんなマニュアル通りにやろうという感じですよね。だからこのスタイルの切り方の1はこう、2はこう、3はこうっていう感じで覚えていく。教えられた側は、教えられたものは切れるんだけど、教えられていないことに関しては全くわからないと思うんですよ。
吉田  だから、いざ「自分のオリジナリティのあるものをつくりなさい」と言っても、まず無理なんです。マニュアルで平均化しようとする教育をしておきながら、いろんなデザインをマンネリ化しないでやれっていう方が無理。全体を同じ線路の上にのせて同じように走らせているのに、そこから新しいものを発想しろって言っても難しいでしょ。
植村  美容業界に限らずですけど、日本は教育そのものがマニュアル化されている。だから、教えられる側が一人一人の人間というよりは大勢の中の一人みたいな扱いですよね。それは自分がヨーロッパに行った時に一番感じましたね。

植村さんはヨーロッパに留学されていたんですよね。あちらでは、どのような教育がされているんですか?

植村  僕が行ったのはイギリスなんですが、そこでは一人一人の個性をいかに伸ばしていくかということに重点をおいているんです。例えば、授業を公園でやったりするんですよ。ただ、単純に天気がよくて気持ちがいいからって。それは、すごくカルチャーショックでしたね。でもそうすることで、五感が研ぎ澄まされる気がするんですよ。そういうことを意識できる繊細な感性をもつことって、モノをつくる側の人間には必要なんだなって思いましたね。空気感を読むっていうかね。

それは技術教育と発想教育の違いと言えるんですかね?

植村  もちろん技術の部分では教科書を見て教えることもあるんですけど、そればっかりではなくてもっともっと考えさせる教育っていうんですかね。例えば、10のうち6、7くらいの部分で技術を教えるとすれば、残りの3、4の部分はモノをつくるために必要な感性を磨くことに使うんですよね。音を聴かせてもらったり、映画館や美術館に連れて行ってもらったり。僕が日本と一番違うと思ったのは、日本のスタイリストさんはスタイリストデビューするまではすごく一生懸命勉強するんだけど、スタイリストデビューしてからは一切勉強しないでしょ。でも向こうは逆で、アシスタント時代は全然勉強しないくせに、スタイリストになったとたんに、いろんなことに興味を持って勉強し始めるんです。
吉田  ものすごくアバウトに言っちゃうと、日本人はスタイリストになることが目的になってしまっているんだよね。つまり、マニュアル通りの技術をマスターしたら、もう一人前って感じで。

個性を伸ばす教育ができないことは、実際にサロンの現場ではどのような形であらわれてくるんですか?

吉田  今って、お客さまが求めているものの大部分は一般誌に出ているような、主流のヘアスタイルじゃないですか。それをやることによってお客さまは喜んでくれますよね。そうすると、お客さまがつくし、売り上げも伸びる。でも結局それで終わっているような気がするんです。僕たちはこの仕事でご飯を食べているんだから、もっとその人の似合うところとか、個性を引き出してあげるとか、その人のファッションの趣味をわかってあげるとかを考えていかなきゃいけない。この秋冬はどういう傾向の服を買いたいのかなとかを考えた上で、ヘアデザインを決めていかなくてはいけないと思うんです。そこまで行き着くには、デザイナーじゃなければいけないと思うんですよ。でも今はデザイナーじゃなくて、松竹梅、ABC定食あります、じゃあどうします?みたいな感じになってしまっているよね。

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