小松利幸●1962年北海道生まれ。アンティのボス。都内サロンを経て、95年青山にantiをオープン。以降99年に原宿でANTI、続いて2002年に青山でanti lagoonを展開し、原宿・青山よりアンティブランドを発信してきた。サロンワークはもちろんのこと、ヘアメイク、撮影、講習など活動の範囲は幅広く、著書も多数。
植村隆博●1997年「DADA(現D-CuBiC)」オープン、2000年「DADA CuBiC」オープン、06年には両店舗を統合拡張移転する。教育活動として04年DADA DESIGN ACADEMY開校、07年に拡張移転。02年、03年JHAグランプリ連続受賞。06年、初のDVD『Disconnection』を発売。
原宿・青山にサロンを構え10年以上がたつDADACuBiCの植村さんとANTI小松さん。スピーディーでホットで、ファッショナブル。日本をリードするこのエリアは決してごまかしがきかない。ときに恐れを感じさせる場所でもある。原宿・青山の両方に店舗をもった経験のある2人にこの場所がもつ魅力を語ってもらった。
対談に先立ち、お二人にヘアスタイルの撮影をお願いした。植村さんのテーマは「HARAJUKU」、小松さんは「AOYAMA」。2人がヘアデザインで表現した「原宿」「青山」の写真からは、それぞれのエリアのイメージが見えてくる。
小松 初めにテーマを聞いたときには「どうやって原宿や青山をヘアスタイルで表現すればいいんだろう?」って困っちゃった(笑)。
植村 僕も僕も(笑)。
小松 今は一ヵ所になりましたけど、うちは半年前まで原宿と青山の両方にサロンがあって、お客さん全体の層って多少のかたよりはあってもそこまで違わないから…。真剣に考えれば考えるほど難しくなっちゃった(笑)。ただ僕の中でやっぱり原宿はキッズ、青山はもうちょっと大人のイメージというのがあったので。
植村 洗練された感じですごくステキだなと思いました。
小松 服はうちのかーちゃんの服だよ(笑)。「青山=コンサバティブ」に落とし込むって方法もあったと思うんだけど、コンサバティブっていうだけじゃないと思ったんですよ。青山って情報発信地でもあるし、意志を持った人たちが集まる場所だと思うんですね。だからそういう情報にアンテナを張っている意志の強い女性像を表現してみました。次にきそうなちょっとカール感のあるスタイルで、額もしっかり出して。
植村 うまいですよね。うまいなーって思いましたもん。バランスも絶妙で。
小松 僕は「植村君、こうきたか!」って思ったよ(笑)。僕ね、植村君はボブかショートで重めで色でくるかなーと思った。とがった感じでくるかなーって。
植村 うん、もちろんそれも考えたんですけれど。原宿と青山の違いって昔はもっとはっきりしてたと思うんですよ。でも今はそうでもないのかなって。
「テーマは原宿」って言われたときに、いろいろ考えたんですけれども、自分がもっている原宿のイメージっていうのは10年くらい前のイメージだったんですよね。わりとカラフルでガチャガチャしてて…。そう、篠原ともえを真似したシノラーっていたじゃないですか。そんな感じ。あとはゴスロリ。でもうちのアシスタントに「今どきそんな子、どこにもいませんよ」って言われて(笑)。だからどっちかっていうと、普段普通にサロンワークでやっているくらいのナチュラルな感じのスタイルをやるのがたぶん一番いいんだろうなぁという感覚で。リアルなところでやろうと思いました。
小松 うん。「こっちできたかー」と思った。
植村 今の若い子たちって、こんなふうに、動いてるスタイルが好きで。ちょっとザクザクした感じっていうのかな。そういうのがオーダー多いですよね。あとは原宿というと、小松さんがおっしゃるように短い髪のイメージ。あと、この子、時計2個しているんですよ。こういうのって原宿っぽいですよね。
小松 あ、本当だ。そうだね。そういうところにも原宿らしさって出るよね。
お二人が原宿に自分のサロンを構えたのは約10年前。2人とも「ここ以外の場所は考えられない」と思っていた。
植村 95年にロンドンから一度日本に帰ってきて、原宿とか青山をまともに知ったのは97年からなんです。原宿を散策するじゃないですか。もう、ありとあらゆる人がいて、ぶっ飛んでいましたよね。今みたいなまとまりなんて全然なくて、新しいカルチャーが生まれる源は絶対原宿にあった気がする。まさに情報の発信地というエネルギーを感じる場所でした。
小松 僕は、自分のお店を出す前に勤めていたサロンも原宿だったんで、だからもう20年前かな。就職するときの情報って、今みたいに業界誌や一般誌でもヘアページがいっぱいあるってわけではなくて。だから先輩と「どこどこのサロンがいいよ」「こんなところがいいんだよね」っていう話をするじゃないですか。そういうときに「原宿」って、絶対に出てくるワードだった。美容師になろうと決めたら、まずは原宿って感じで。
植村 僕にとっても原宿は特別でしたね。世界的に見ても、東京の代名詞ってなってくると、やっぱり原宿・青山。外国人にも通用するエリア。ロンドンに似ているところもあって。共通点としては、やっぱり退屈しない街っていうところかな。パワフルですよね。この街は本当に何が起きるかわからない。オモシロイ! みたいな。
小松 もう何でもありって感じだったよね。アイデアさえあれば何でもできちゃうっていうところがあって。だから自分のお店を持つって考えたときも、やっぱり原宿以外は考えられなかった。最初に出したお店は原宿のど真ん中でした。

